多くの先人たちの絶え間ない努力により、胎児病態の診断とケアの技術(出生前医療)は発展してきました。出生前診断技術は超音波診断、染色体・ゲノム検査などが著しく進歩を遂げ、すでにいくつかの胎児病態の診断は可能となっています。
しかしながら、わが国ではそれらの理解と普及がいまだ十分とはいえず、欧米諸国に比べても明らかに遅れた状況にあります。このような背景のなかには、わが国の出生前医療の歴史が浅いこと、同医療に関する不確かな知見が安易に流布され、その正しい理解と受容が妨げられてきたことなどが挙げられます。このことは、一般の方々だけではなくメディアにおいても、さらには一部の医療界のなかにも認められます。さらにわが国では、胎児は法制上「ヒト」として認められてはおらず、健康保険の対象外ということも今後の重要な課題といえます。
本会の主な目的は、医学的・国民福祉的な視点から、さらには医療経済的な観点からも、出生前医療の普及が、障害を有する多くの患者さんたち(出生後)やそのご家族の支援にもつながりうるということを、あらためてご理解いただくことにあります。すなわち、出生前医療の領域において医科学的事実の認識を普及させ、その実績向上を支援することです。
そして、このことは何よりも、妊娠可能な女性・妊婦さん、その家族の方々のご不安を少しでも軽減し、わが国の医療福祉に対する貢献につながるものと信じております。
当会はまず、出生前医療の正しい理解と普及の実現に向けて活動してまいります。
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